April 2015

4月のインテリアレポート:

コッツウォルズの小さな村Beckford(ベックフォード)に住むささきひとみさんの家をご紹介します。
ロンドンでの暮らしを離れ築300年の農家にお引越しなさったのは7年前。インテリアデザイナーのパートナー、マーティン氏とともに自分たち流に家を改装してきました。
大のアンティーク好きの夫妻はイギリスのみならず大陸へも出かけ好みに合う品々をコレクションしています。ジャンクでスタイリッシュなインテリアのこちらのお宅からは目が離せません。

       
 Dalton House(ダルトンハウス)の入り口は村の教会に面しています。  玄関ドアを開けるとホールと階段室に続きます。ホールのマントルピースは昔キッチンの役割も果たしていました。
オリジナルの家ではここが家族のダイニングだったのでしょう。
 耐火煉瓦には焼け焦げが残っています。ここでお夕飯の支度をしていたのですね。今は素敵なディスプレイコーナーになっています。  ホールのデスクの上にもひとみさんらしい遊びが見られます。ちいさなテディは娘さんのおもちゃだったのかもしれません。何気なくおかれているものがすべて同じテイストとレベルなので雑然とみえません。
       
 ホールから奥につづくキッチンとダイニングは200年ほど前に増築されました。こちらも収納クローゼットは特にありません。すべて見せる収納に徹しています。  壁の収納棚はフランスから持ってこられたとのこと。日常に使う食器はこちらの棚に納まっています。すごい収納量ですね。
作業テーブルはイギリスのお肉やさんが使っていた肉切りテーブルです。天板が金属で棚とは質感が異なるのにすっきり収まっているのもテイストをそろえているからですね。
 引き出し代わりにつかっているバケツ。作業テーブルの天板にあわせました。中に収納されたお鍋やツールが楽しげです。  イギリス人がみな憧れるガス調理器、Aga(アーガ)。fire Place(暖炉)にぴったり収まっています。日常に使うフライパンやお鍋もアイアンのレールに引っ掛けているだけなのにお洒落に見えますね。
       
 ダイニングの横に置かれたサイドボードはかなりの収納量がありそうです。普段使わない食器などがしまってあります。ひとみさんもきっとカゴ好きなのでしょう。家中に素敵なアンティークのバスケットが見られました。  壁面は膨大な収納スペースに変身します。
 バスルームの棚もボックス収納で決まっていました。黒いブリキの箱の中には何が納まっているのか想像力が働きます。  イギリス人はめったにバスタブにお湯をはりません。日常はシャワーで済ませます。この家でひとつだけモダンでスタイリッシュなシャワーブース。
       
 マーティン氏の書斎。フィフティーズの椅子の色に壁の色がリンクしています。古い写真や絵が壁面いっぱいに収納されています。  シャビーシックなデスクはこの部屋のフォーカルのひとつ。子供のボックスやワイヤーカゴの中にモノがしまわれていました。  マントルピース横のアルコーブに作られたオープン棚もコレクションの見せ場です。ボトルやガラスなど女性が好む雑貨もマーティン氏がディスプレイするとマニッシュでクールに仕上がります。  書斎の向かい側のラウンジ兼ファミリールーム。ジャンクでにぎやかなキッチンや書斎と異なり静かでエレガントなお部屋です。
       
 フランスから届いたピンクベージュのソファ。写真にはよく見えませんが両サイドの肘掛がパタンと倒れお昼寝用のカウチに早変わりします。テーブルの上だけ照らすモダンな小さなペンダントライトがとてもお洒落でお部屋のインテリアを引き上げていました。  ダルトンハウスは元農家だっただけありお庭も広いですね。今は子供の遊び場ですが素敵なコテージガーデンが出来そうです。  Beckfordはコッツウォルズの村なのでお向かいのコテージはライムストーン造りです。  ライムストーンは砂岩なので柔らかく野生の植物が茂りやすいのですね。この塀は植物が寄生してより一層有機的に素敵になりました。日本の無機質なブロック塀とは比較になりません。
       
 ひとみさんの家を訪ねるとき必ず立ち寄る街、Broadway(ブロードウェイ)。  いつも憧れて見ているハイストリート沿いの家。
フロントガーデンだけでもこんなにゆったりしているのですからバックガーデンの広さが想像できます。
 ハイストリートにはロンドンのお店が軒を並べています。リッチな街なのですね。  これはおまけの写真。ブロードウェイを訪ねるたびに必ず立ち寄るデリです。ここのサンドウィッチは絶品です。


古い農家にはクローゼットという特別なスペースはありません。この家では家具や棚や壁面を使ってみごとにモノを収納しています。
収納とはモノをしまいこむことではなくいかにきれいに素敵に見せるかということです。そのお手本がひとみさんの家中に見られます。
訪れるたびにモノが増えますます楽しい家になっていく様子をわくわくしながら拝見しています。

ひとみさんは英国専門の情報誌、ミスターパートナーにアンティークについての記事をオリジナルイラスト入りで毎月書いていらっしゃいます。
またアンティークディーラーとしてネットショップも開催。こちらのサイトもぜひお訪ねください。

ささきひとみ
Drawer/ヴィンテージアンティークショップ
http://drawerhome.jp


2015年4月 荻野洋子




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